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ブログ
こんにちわ。
はればれの人です。
暖かくなったり寒くなったりでジェットコースターみたいな
気温と株価に翻弄されてないでしょうか?
体が資本なのでくれぐれも健康を第一にしていきましょう。
早速ですが今話題のオードリー若林さんが執筆した小説「青天(アオテン)」を読んでみたのでレビューと言うか読んだ後に思い出したことをただただ吐き出したく夜な夜なこんなオフィシャルの場に吐き出しています。
学びというよりあれってどうやったっけ?的なことです。
酔っぱらいの言うことなのでその程度でご覧ください。
何を隠そうぼくは「リトルトゥース」なのです。
※オードリーのオールナイトニッポンリスナーの総称
2024年の東京ドームライブにもなんとか言い訳を携えて行けないか
最後まで奮闘しておりましたが最後はオンライン観戦にいたりました。
あの日敗者復活から駆け上がった瞬間からずっとファンなんですね、はい。
ずーっとラジオを聞いているのでお二人の学生時代のことはかなり知っている部類だと思うのですが
特に若林さんの考え方とか若い頃に感じたこととか男子校とか結構共感する部分があったので
これはおもしろ確定だろ!と今回の小説を購入するにいたりました。
内容は言いません。ええ。言えませんよ。
ひーーーっさびさに一気に読みました。
普段コムツカシイ本をコムツカシイ顔して読んではしんどくて休み休み読んでいるぼく。
元々の地頭が悪い分難しいことを覚えられず本を読むことは結構苦悶なんですがこれも修行と割り切って読むようにしています。
ただ、10冊に1冊ぐらいはストレス発散と表現力の向上のために小説を読むようにしています。大体3~4回に分けて読み切るので3~4日ぐらいで消化します。
しかし。。今回開いて4時間半ほどノンストップで読み切ってしまいました。
導入からおもろい。
残ページが少なくなることが切なくなる。
てかリトルトゥースなら止まれないですね。
起承転結というより要所要所若林さんの実体験からくるものなので知っている感覚もあって盛り上がり方が普段の読み心地とは全く違っていました。
言えません。内容は言えませんよ。
ただ青春時代のいいとこと悪いところがちょうどリアルに描かれていたので
特に同年代の、特に男子校出身の人間には共感できる内容だと思います。
読後感は自分にとっての「青天」でした。
てことで読んだ後にあれなんやっけなー?
どんなことしてたっけー!?と、20年以上思い出したことのないような自分の学生時代、
きっと来年のぼくは今よりもかなり忘れていると思うのでここにメモとして書いとこうと思います。
小説(青天)はアメフトを中心に高校生活、高校生の心の動きを描いていますが、ぼくの場合中学からバスケットボール部に入部して、そこそこ強い学校でそこそこに重宝されるポジションでした。
一応1年からメンバー入りしてましたし大きな大会にも出ることができてわりと自分ではこのままいけんじゃね?と勘違いしていた時期もありました。
しかし最後の大会に出ること無く中途半端なカタチで退部することになりました。これがぼくのすべての暗黒期のはじまりです。そこからの2年近くはなにも思い出したくないのでまた気が向いたら書きます笑
まあそんなこんなでぼくは高校に二度目の入学をするんですが、そこでの文化の中心は女、車・バイク、喧嘩、だんじり..とまあこんなトピックでしか会話が無かったわけですね。当然ぼくには合わなかったんですね。はい。表面上は合わせますが心底学校が面白くなかったわけです。はい。
そんなことよりカートとコートニーってなんか良くない!?とかデビッドボウイのマネ一番うまいやつ決めようぜ!とか到底できないんですよ。浮くとかでなくわからない。文化が異なりますからね。
てことでここからは青天みたいな感じで自分の記憶を描いてみた『白天』(関西で愛されるすり身の天婦羅。揚げかまぼこですね)を体力のある方はお楽しみください。
———————————
鼓動
「つまんねー」
学校に指定された席に腰を下ろした。
街灯が点滅から点灯にかわるのを毎日横目で見ていた。
教室はこの世の中で一番くだらない空気がうっとうしく纏わりつく。
先日起こった上級生の喧嘩の話やナンパした話。
彼氏彼女の愚痴。
職場の文句。
通常の高校生活では考えられない会話が教室に充満する。
毎日これだ——。
適当にあいづちをうちつつも自分のことは話す気にならない。
これなら一人でオセロでもしてる方が時間は早く過ぎる。
自分で自分を追い込んで最後に自分でまくってやったほうが楽しいかもしれない。
とにかく給食以外の時間が一瞬で過ぎ去り、FTRを飛ばして家路につくことを学校にいる間は常に望んでいた。
かと言って家に帰ってなにかすることがあるかと言われてもなにもない。
もうTVゲームはやっていなかったが、漫画を読んだり映画を見たりと怠惰に怠惰は重ねていた。
そう、誰に誇れるものも、共有したいことも、その当時のぼくにはなにもなかった。
そんな生活を半年〜1年か
この辺が曖昧だが、とにかくつまんねーがピークに達していたタイダーマンがある日、こんな声を耳にした。
『新しく赴任した先生がバスケ部つくるらしいで』
波動が腹に響く。
誰にも聞こえない雷鳴が自分と外殻を隔てて容赦なく心臓をえぐる。
忘れていたなにかに触れられるかもしれない。
不貞腐れて見て見ぬふりをしたあの日の自分と決別できるかもしれない。
その一瞬、思考がドーパミンの荒波に乗って脳の主要機関すべてに伝達しているのがわかった。
全脳一致でまとまった。
とにかく見に行こう——。
気づけば腹で太鼓たたいてんのかい!と感じるほどに激しくビートする心臓がぼくの足を突き動かした。
これが1つ目の記憶。
これまた曖昧な記憶。
始まりに関してはもうひとつ記憶がある
2つ目の記憶が——
「おもんないなー」
「なんか体動かして遊ぼうや。学校の場所つかわしてもらおうや」
「どうせやったらバスケしたいなー」
——こんな感じの会話があった気がする
「ほんなら先生にゆうてみよー」
「せんせー おれらバスケ部やりたいんやけどできるー?」
「5人おらんと部にでけへんで。あと顧問もいるし」
「5人と先生なー オッケー!集めるわー」
——こんなノリやった気もする
1つ目にしろ2つ目にしろきっかけが曖昧だが 2つ正しいのが
『新しい先生が顧問になった』『全員で5人』ということ。
きっかけは曖昧だがとにかく新チームが発足した。全員で5人。
4人は同い年でぼくを合わせて2人が経験者、1人が一つ年下で経験者
2人が未経験というなんともウソみたいな史上最弱チームが生まれた。
それからはとりあえず5人と先生で、できることをみんなで考えた。
最短で未経験者がいても試合がカタチになるように徹底してルールをおさらいして、説明して実践していく。体を動かしながら動きを確認していく。
楽しい——。
シンプルなランシューをみんなでやるだけでこんなに楽しかったっけ。。
ツーマンして3対2。
速攻の練習がこんなに楽しいなんて、ボールに初めて触れた中1の夏前を思い出す。
パス出して速攻。
シュートと見せてパス。
練習は楽しいけどすぐ疲れる。
「ああ、タバコなんて吸わんかったら良かった!」
「もっと体動かしといたら良かった!」
楽しい反面自分の怠惰な生活で奪われた体力とブランクで失われたボール感覚に嫌悪感と後悔がつきまとう。
練習を初めて何日か経ったある日、チームのキャプテンを決めることになった。
「そらこいつがキャプテンでしょ」
「意義なーし」
なぜかぼくが全員から指名された。
これまたなぜかはわからないが悪い気はしなかったし
これまでの薄暗く怠惰な自分に別れられた気がした。
変な責任感が芽生えた——。
チームにとって一番幸運だったのは顧問を受けてくれた先生がバスケ経験者で自らも社会人チームをやっていたこと。これは助かった。
しかも情熱もって練習を見てくれたのでぼくらにとってはタナボタにウラドラが乗ったような一人役満先生だった。
高身長でセンターだったと思う。
いつも丁寧に優しく教えてくれた。
自分のチームのメンバーを連れてきて試合形式で練習してくれた。
これは本当にありがたかった。
なんとかカタチになってきたところでメジャーな大会に出ることになった。
これを勝てれば全国大会につながる大事な大会。
最弱チームを結成して3ヶ月ほど経っていた。
大会−冬-
久しぶりの本番。
練習試合では味わえない緊張感。
2ヶ月前にみんなでデザインを決めて今日の日のために揃えた新品のユニフォームに袖を通す。
「こんなに脇開いてたっけ?」
——意味の無い言葉が口から出る。
試合ができるなんてその時点で2年以上ぶり。
特に緊張はしてなかったと思うけどそれなりに興奮していたのを覚えている。
ただ、1回戦だったか2回戦だったか忘れたが、ぼくらの地区には常勝高校がいた。
ここからはイメージしやすいようスラ◯ダンクの高校名を当てていこう。
ウチの高校は5人なので湘北高校としよう。
メンバーはキャラクターではなくポジションだけで当てていく
PGー宮城(ぼく)
SGー三井(経験者同級生)
SFー流川(経験者一つ下)
PFー桜木(未経験)
Cー赤城(未経験)
まったく原作のキャラクターとは違うが5人しかいないこと、弱小高校ということで許してほしい。
対する相手は全国常連校ということで——海南大付属高校。
この地区では圧倒的に強く、ベンチ層も厚い。ヤンキーだらけのくせになぜかバスケは強い。
そんな海南とぼくらは運悪く当たってしまった。
久しぶりの実践という興奮に誰か一人でも欠ければ試合にならない現実。少し背筋が冷たくなった。
バスケは5人でやるハードなスポーツだ。
体力が切れかかる前にフレッシュな選手と切り替えて温存させたりするのも戦術の一つ。
交代はいくらでも行える(今は知らん)からタイミングとメンバーを考えるのが監督の役割だ。
たとえ退場をくらっても5人は維持できる。ここがサッカーと違うところだ。
しかしウチには最大で5人しかいない。これがどれほど戦術の幅が狭まるかを想像するのはオカンの入浴シーンを想像するように容易に拒否反応を呼び起こすだろう。
顧問のコーチからするとそんな状況だったわけだ。
前日まで今なら考えられないくらいは走ったつもりだったが幸いぼくらは全員、怪我も病気も無く試合当日を迎えられて良かった。
ピーーーーッ!!
試合がはじまった。
素人丸出しだった未経験2人のメンバーもかなりバスケの動きになっていた。
練習してきたフォーメーション通りに流れて。。
いや、ゴール下の赤木が潰されている。
パス出せん。。外の流川か——!!
パスカットでカウンター。
焦らず一本取っていこう。
三井にパス
クイックにロングシュート!
焦りすぎだ——
落ちる。。スクリーンアウト!
カウンターからの失点。
こんな調子で終わってみれば確かダブルスコアだった気がする。
その後あっけなく海南は全国への切符を勝ち取った。
とにかく体が動かせて、あの日逃げ出したバスケをもう一度やりたかった。
それだけだったのに、この日ケチョンケチョンにされた史上最弱チームに芽生えた感情は
「ぶち殺す」
後から聞いたが海南のスタメンほとんどが同じ年のようだ。
てことは来年もいる。
マンツーでついたやつの顔は覚えた。
相手の4番。海南の4番なんで牧としよう。
ポジションもPGだし良いだろう。
一番動きもあって点に絡んでた牧。次にあった時、あいつを殺す。
とにかくムカつく。
中学でバスケをやってる間はここまで感情に波がなかった気がする。
なんやかんや先輩のチームで出ていたこと、自分らの代になった時、先輩らと今までやってきた自分にとって同級生とプレーすることは激烈に物足りなくなって面白くなくなったことが原因なんだろうか。今となってはわからん。
でもあの頃よりも大人に近づいているはずなのに、びっくりするぐらい鼓動が早くなり、頭に木生えてんのか!ぐらいぶっとい血管が地を這う根のようにコメカミから顔全体に浮上していた感覚はある。
あの時の血管ならちっさいトマトは通るだろう。
横を見るとみんな同じ顔をしていた気がする。落ち込むというより静かに覚悟を決めていくような、深く、暗く、荒い呼吸だけが音として覚えている。
最初からどう考えても勝ち目はなかったのに何故かぼくらはムカついた。
発足数カ月のやつが常連校に勝てるわけがない。走った距離も時間も、シュートの数も全く違う。
勝てるわけがない。それでもとにかくムカつく。
今考えても全くわからない。年頃だし、土地柄だしで試合は毎回どことやっても多少荒れる。
でもこの試合で負けたときのマグマのようにゆっくりと高温で執拗な怒りは鮮烈に覚えている。
試合後みんなで話し合った。
できることから少しずつ取り入れた。
練習試合の数を増やしてもらった。
個のレベルアップのため武者修行的に別のチーム練習にも参加した。
未経験者だった2名には悪いが徹底的に一つのことを武器にするまで
練習内容を絞って反復した。
二人には今思えば本当に悪かった。同じことの繰り返しで面白くなかったと思う。
それでも二人は毎日同じことを繰り返してくれた。
その他の3名はそれ以外のことが全部できるように己の武器とそれ以外も磨くことにした。
ぼくは走ることを選んだ——。
あいつより走る。速攻でも、カウンターで来られてもあいつより走る——。
PGというポジションはサッカーで言う司令塔だが、バスケでは一番走るポジションだ。
速攻はすべてPGが先頭を行く。
小回りとスピード、体力が必要だ。
仙道がプレイしていたようにクールに試合を決めるパスを出すのも仕事だが、
それ以前に一番の仕事は「走る」ことだ。
・1試合で消耗する体力タンクを2つ増設する
・試合中にカットインするスピードを今の倍は早くして1対1の勝率を上げる
・ミドルシュート率を50%以上に上げる
・コート上の28メートル走で一番になり誰よりも走る
・海南をぶち殺す——。
今考えるとこの日、生まれて初めて中長期計画を立てたと思う。
大谷くんが現在の姿を高校生のころから描いていたことを思うと恐ろしく恥ずかしい目標だが、生まれて初めて明確に目標を立て、日々のタスクを実行することが自分にとっては少し誇らしかった。
それから半年ほどだったか、仕事は変えても練習のペースは変えなかった。
週4回程度の練習に加えて自主練、武者修行でほぼ毎日バスケができた。
試合に負けて2ヶ月ぐらいでチームのプレイレベルが明らかに上がってきた。
5人しかいない分、目に見えて全員の体力がバケモンのように向上していった。
そりゃそうだ。強豪校のスタメンでも最初から最後まで出ているのは一人か二人。
全員が全員最初から最後まで試合に出ているのは弱いチームの性だ。
未経験だった桜木、赤木も自分の得意なレンジを持つようになった。
ゲームの流れを読んで自分のプレイを変化させる柔軟性も見せるようになっていた。
人間ってこんな短期間でこうも成長するかね——。
この時心底二人をリスペクトしたのを覚えている。
感動したくぐらいだ。未経験でこれほどチームのために一生懸命になってくれ、ついてきてくれたことが純粋にうれしかった。
ふと気づいた。
学校はもう、「つまんない」空間では無くなっていた。
ただ、桜木に関していえば、その頃新しく赴任した若い女の保健の先生と付き合い出したことが発覚して、それはそれで殺してやろうかと思った。
ただの醜い嫉妬である。
バスケは頑張るがそこは年頃の男が集まってるからそれなりに異性の話はする。
それぞれに彼女めいた人ができつつもバスケがあってなかなか進まない。
そんな話をしていた気がする。
「お前は保険室でも行ってこいや!」
話の最後はこんな感じでオチとして使ってた気がする。
メンバーとはバスケ終わりメシに行くぐらいで私生活が仕事と学校で時間がなかったからプライベートで遊んだことはほとんど無かった。
でもあの時はたしかに太く、濃く絆を感じられていた。
普段の学校練習ではオーソドックスなパターンと海南戦だけのパターンを繰り返し染み込ませた。
先生のチームメンバーに海南っぽい動きをさせて架空の海南チームとして対戦し続けた。
そんなこんなといろんな時間をチームで過ごしていくうちにまた冬になった。
次の大会であいつらとまた試合ができる——。
大会-冬冬-
冬の三田市は積もりはせずとも雪が降る。
関西の都心部では1年に1,2度ほどしか雪は見ない。
積もるとなったら尚さらだ。
試合当日は道中、少し雪がチラつきながらも視界を奪うほどの降り方はしなかった。
あの日から1年、毎日バスケのことを考えてきた。
シャドーで牧と1on1を繰り返した。
その当時バスケのプロリーグは国内に無かった。
だからバスケを頑張る理由はあいつに勝ちたい。
ただそれだけだった。
幸か不幸か準決勝まで進めば海南と当たる。
実質そこが決勝だ。
洗濯を繰り返してすっかりよれてきたユニフォームに袖を通す。
バスパンに深く手を突っ込んでいい感じに調整する。
リストバンドをつけてヘアバンドをつける。
テンションが上っていくのが分かる。
それを隠そうとしている表情がはっきり顔に出ていることも分かっている。
普通なら恥ずしいかもしれないが、信頼しているメンバーにはなにも恥じることが無かった。
そんなメンバーに目を向けると驚くほど落ち着いていた。
どうやらやれるだけやったら緊張する隙間は無いらしい。
少し前だった前回大会がえらく懐かしく感じた。
一回戦は無事に勝利した。
あれからいくつかの高校と練習試合を重ねたが高校の特性上まともに練習しているチームが少なく、
いつの間にかぼくらは強豪校ばりの勝率になっていた。
次はいよいよ海南戦。
あの日のリベンジのために生きてきた。
マグマのような感情が腹の底でうねっているのを感じる。
「よっしゃ!行こう!」
一応キャプテンのぼくが声をかけ、コートに向かう。
あの試合はアウェーの白のユニフォームだった。
相変わらずの大所帯。
海南のベンチには声出し要員から続く鳴り止まない応援。
その周りには女の集団が黄色く海南サイドを彩っていた。
対してこちらのベンチはゼロ。
応援合戦など無縁の前回対戦した日と同じ景色だった。
1試合挟んだのが良かったのか
みんな変な力みもなく体も軽い。
みとけよ牧
ピーーーー!
ジャンプボール
馬鹿みたいに高い三井のジャンプ力で相手のでかいCよりも早くボールに触れる。
ボールをとってフォーメーションを整えるよう冷静な顔でメンバーに指示を出す。
やはり海南は1ミリも負けるなんて考えていない。
試合の入り方を見てもすぐに分かる。なめくさってくれてサンキュー
相手のディフェンスがだらだらとマンツーにつきだしたのを見た瞬間クイックに切り替えた。
一気に近くのディフェンスを外し、先を走る三井にダイレクトにロングパスを出した。
まずは先制。
相手は王者だから普段通りにさせることが一番勝ち目が無い。
ややこしいがスラムダンクの山王戦を参考にして先制点をとることは入念にシミュレーションしてきた。
すんなりパスは通ったがやはり戻りは早い。
一瞬で中を固められた。
三井は一歩下がってミドルシュート。
審判のVサインが見えた。
「よっしゃー!」
メンバー全員で拳を握る。
サッカーと違って点をとっても全員で喜びあえる時間は無い。
ほら、あきらかに向こうの顔つきが変わった。
先にやられていらついた空気が流れた。
今のところ計算通り。
マンツーマンの海南に対してこっちはゾーンディフェンスだ。
やはりディフェンスだけは経験値が必要なのでこちらの2名の未経験者をカバーしようとするとマンツーマンは厳しい。
全員合致で守りを固める。
先の試合で向こうに外からのシュートがあまり無いことはわかっていた。
中に切り込まれない。もう牧には抜かれない。
パスだそうとして右に切り替えすフェイク
左に切り替えして右からスクリーン
イメージしてきたからか抜かれる気がしない。
30秒前に慌てて向こうのミドルシュート
「スクリーンアウッ!」
全員一斉のスクリーンアウトからこぼれ球を拾う。
シュートを落とした表情にはまだ余裕を感じる。
ここで慌てず一本取っておきたい。
ゆっくりボールをハーフラインまで運ぶと待ち構えた海南メンツがウチのメンバーを中に入れまいとジリジリ押し出していた。
全員広がった状態。
センターのぼくからはじまる。
この景色はPGの特権だろう。敵味方全員がぼくの一挙手一投足に注目する。
作戦は10個ほど用意した。
まずは今日は調子が良さそうな三井で攻める
逆サイドの流川にパス——
スクリーンを三井にかけに行き、三井をフリーにする。
流川から赤木にパスを出した瞬間一気に外へ
3Pライン一歩外で受け取った三井がロングシュート
ピー―!
Vサインと親指を立てて3ポイントであることが提示される
そう、出川哲郎の「3」の表現と同じだ。
「よーーし!」
「調子いいやんけー!」
「今日ええぞ!バンバン来い!」
調子の波はあれ三井は入りだすと止まらない。
さすがに目の色が変わった海南はここから怒涛の攻めを見せてくる。
こちらも踏ん張りながらも一進一退の攻防が続いた。
33-28
ここでまたフリーになった三井がスリーを決める
36-28
「タイムアウト 海南」
「よーーっし!」
たまらずみんなで肩を抱き合う。
びちゃびちゃで普通ならキモチワルいはずなのに心地良い。
「向こうはスリー警戒して焦ってきてるからディフェンスが外に向いてる
ここからは流川をもっと使おう」
前半残り3分——。
開始早々牧のカットイン——
「させるか!」
——からのCにパス
36-30
オフェンスに切り替える瞬間牧がそこにいた。
「こいつら前半からオールコートに切り替えやがった!」
普通のディフェンスはハーフラインより自陣内を守るが、一気に勝負をつけるときにオールコートディフェンスに切り替え、前からボールを奪う作戦だ。これが馬鹿みたいに疲れる。
でもこれを待ってた——。
スタートの赤木からパスを受け取った瞬間牧がツメてくる。
ボールに当たるよりも一瞬先に逆サイドにドライブ。
「走りまけんぞ!」
この日のためにスタートダッシュとドライブを磨いてきた。こいつを置き去りにするために。
「やば!追いつかれる!」
ハーフラインを超えてカットインでそのままシュートに持ち込もうと思ったのにやっぱり牧は早い。
牧に気を取られた一瞬でCがぬっと出てきた。
「でかい——」
トップスピードでジャンプ
空中でCのブロックを避けながらダブルクラッチで逆サイドの赤木にパス——
この日のために何百回も練習したゴール下シュートが見事に炸裂——!
「おーーし!」
「やるやんけーー!」
誰が決めるよりも赤木と桜木が決めてくれるのが嬉しかった。
本当にうまくなったな。もう未経験じゃないよ。
38-30
喜んだ一瞬の隙をつかれて牧からのカウンター。
しまった。ゴール下まで行ったことで戻りが遅くなった
3対2となった自陣で牧がランシューを決める。
38-32
残り1分半
後半の開始はこの点差でいたい。4点差だと無いのと同じだ。
時間をフルに使って一本取ろう。
相手コートまでドリブルで突破する
「一本!」
人差し指を突き上げ、フォーメーションを展開する
今度は一番エンドラインまでボールを上げて中で受け取り、切れ込んで来る流川にパス——。
流川は勢いそのままジャンプ——
相手のCがブロックにかかる——
ダブルクラッチで右手から左手に持ち替えてヒョイッとボールを浮かした——。
スパッ——
「入った―!」
「おいおいみんなノッてんなー!」
そこからカウンターですぐさま返されるもここで前半終了——。
40-34
「おっしゃおっしゃ!いけるいける!」
「全員めっちゃ調子いいやんけ!」
「いけるよなぁ!?先生!」
「いける!前半の最後向こうバテ出しとる。メンバー2人ぐらい変えるかもしれんけど恐らく主要メンバーは変えられへんやろう。こっちが勝ってるからな。後半はもっと走るぞ。桜木、流川、三井でリバウンド。落ちたと思ったら速攻。宮城と赤木や。死ぬ気で走れ」
「オッス!」
前半の三井と流川のオフェンス力を見て向こうのディフェンスがうまいやつが二人についた。
牧は相変わらずぼくについてるけどタイミング外せば負けないこともわかった。
後半足ちぎれても速攻決めたる。
後半も前半と同様にオフェンスからはじめられた。
向こうのメンバーは一人変わっただけだ。
相手のスタメンの体力が切れたらおれらの勝ちや。
前半とは打って変わってスローにはじめた。
時間いっぱいにパスを回し、フリーになるやつをつくっていく。
スクリーンを繰り返して一瞬三井がフリーになる。
0度からのスリー
スパッ——
後半もまだまだ三井の集中力は切れてない!
「切り替えてディフェンス戻れ!」
早い切り返し——
カウンターの速度が上がっている。
変わった向こうのSFが早い。
速攻ですぐに取り返された。
43-36
「おいおい」
後半3分すぎ
海南が仕掛けてきた。
オールコートゾーンプレスできた。
かの山王戦で有名なめちゃくちゃしんどいディフェンス。
しかも赤木もぼくも作戦通りかなり上がってしまっている。
ピーーーー!
明らかにアタリが強い。ファウルスレスレで押している。
ハーフまでボールが回せてない。
急いで戻ろう!
「あっ」
43-38
ゴール下でパスカットされそのままシュートを決められる——。
「やばい。ゾーンプレスに対抗できるやつが後ろにおらん。」
「戻る!赤木は前で向こうの気引いとけ!」
ピッ!!
「10秒!」
「海南ボール!」
しまった。
またゴール下から進めなかった。
そのまま2点を失う
43-40
「シビれるねえ」
3分で一気に縮まった。
「まあ余裕なんて無い方が腹括れるわな。」
「タイムアウト取りたいところやけどまだ後半5分も経ってない。
一旦フォーメーションを前半に戻そう。
三井とぼくと流川でハーフラインを越えよう」
「ウェイ!」
三井からクイックのパス!
なんとか受け取りコーナーから一気に切れ上がる。
コースカットされる前に流川に託す!
なんとかハーフまで持ってきた。
こいつらかなり練習してるな。これ。しんどいのに。ようやるで。
「さあ一本!」
ここでもう一本離すぞ
流川勝負いけ!
バシッ!
ブロックされた!
やばいカウンター!
前走るのは4番——。牧か!
死んでも止める!
「おあああ!!」
「あ」
手が届きそうだったシュートブロックが外されて逆サイドに切れ込んできたSFにパスが通り
43-42
ピピーーーー!
「チャージドタイムアウト 白」
後半5分少しで追いつかれた。向こうのディフェンスでこっちが体力を削られた。
くそ——。
「どうした三井?」
「足ツッた!」
「まじかよ!とりあえず座れ!氷!」
三井は調子いいときほど足がつりやすい。多分普段よりも早く走れるし高く飛べるんだろう。その分足への負荷も限界を超えて悲鳴をあげる
「タイムアウト1分やぞ。いけるか?」
後半の作戦が伝えられた。
ゾーンプレスが続くようなら速攻は狙わずボール運びに集中するフォーメーションを優先するが先生曰くもうそろそろバテて終わるらしい。
その切り返しのタイミングでカウンターにいけとのこと。
「そういう考え方、好きやなあ」
「どないや三井?」
「全力ダッシュは無理」
「シビれるねえ」
さああと15分きばろかーー
その先へ
「三井はほんで結局どうすることになったん?」
「俺は今のバイト先で就職するわー 多分2月からになるからもう学校ほどんどこられへんな」
「桜木と赤木も就職決まったらしいし学校こんしな。おもんないな」
「まあこの時期やししゃあないな」
冬が近づくと思い出す。
1年前に雪のチラつく寒い体育館で起きた熱狂を。
あの日三井も流川も絶好調で海南戦は1ゴール差で勝利した——。
興奮と安堵が一気に襲いかかる。
海南戦にすべてをかけていたぼくたちは、同日行われた決勝戦であっけなく敗北した。
決勝の相手は今年生まれた新参チームでほとんどが年下で現役バリバリのメンバーが揃ったチームだった。
自分たちのスーパー上位版のような存在にあっけなく全国大会の切符を奪われた。
「そういや先生なにしてんねやろうな」
「最近見んなーなにしてんねやろ」
あれからみんな就活で忙しくなり、学校に揃うことも少なくなったためバスケ部自体が幽霊クラブと成り果てていた。
たった5人であれほど熱中した体育館は今やママさんバレーボールチームの独占状態となっていた。
ややこしいがぼくは高校に2度入学しているので三井たちの一学年下になる。
だから就職はもう一年先になるのだが、それもしっくり来なかったので大会後密かに飛び級で大学を目指すことにした。
落ちたらカッコ悪いので誰にも伝えて無かった。
誰にも伝えずにいたらすんなり合格した。
そんな感じで1年近く過ごしたので経緯を説明するのもなんとなくめんどくさくなり、
結局誰にも伝えることなく2度目の高校退学をした。
「ああーバスケしたいなー」
「もうええやろー。ええ思い出なったし」
「全国行きたかったけど まあおもろかったな」
「また落ち着いたらバスケしよなー」
あれから20年以上経ったがまだ約束は守れていない——。
バスケ部の発足と解散の記憶は曖昧になり真実がどうだったのかわからない。
けどあの日の熱狂は思い出すたびに少し鼓動が早くなるほどぼくの人生を鮮烈に彩る瞬間だったことは間違いない——。
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本当は仮名でもよかったんですがスラムダンクの状況がかなり類似していたのでお名前お借りしました。
書いてみておもったのがまあまあ忘れてることと必要以上に覚えていることが交錯したことでした。
人間の記憶なんて曖昧ですがやはり鮮烈に覚えていることというのは自分の熱量が高いことですよね。
これからそんな体験ができるかわかりませんが人生に情熱もって生きていこうと改めて思いました。
とりあえず地元の名酒「来楽」を片手にここまで書いてきましたが小説書くって大変ですね。この10倍ぐらい書くって考えたらやっぱりすごいわ。

人生の振り返りと小説家へのリスペクトと来楽のフルーティーな酸味にうっとりできた夜でした。
おあとがひうぃごー
マタアウヒマデ